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雇用調整助成金とは

景気変動や災害の際、多くの企業の頼りとなる雇用調整助成金。
事業者・従業員双方にメリットがある制度であり、事業者は優秀な社員を解雇せず企業活力を維持でき、従業員は解雇されずに安心して働くことができます。
ここでは、受給条件から申請方法まで、雇用調整助成金を受け取るために必要な基礎知識をまとめました。

大見出し雇用調整助成金とは

雇用調整助成金は、景気変動の際、雇用を維持する目的で支給される助成金です。経営状況の悪化に伴う事業活動の縮小時に、従業員を解雇せず、雇用を維持する対策を取った事業者に支払われます。
具体的な雇用を維持する対策としては、休業・教育訓練・出向の3つが挙げられます。

休業とは、働く意思や能力がある労働者をあえて休ませることです。比較的準備が簡単なため、経営状況悪化の一時的な対処として行われます。

教育訓練とは、職業に関する知識や技術を身に付けられる教育・訓練・講習を行うことです。従業員の意欲・スキルの向上による将来的なメリットを見込んで、雇用維持を行うことができます。

出向とは、従業員を一時的にほかの事業所で勤務させることです。従業員の同意を得た上で、労働条件や出向先との賃金分担率を明確にしなければなりません。

雇用調整助成金の受給要件

雇用調整助成金には、以下の5つの受給要件が定められています。

1.雇用保険の適用事業主であること

農林水産業の一部を除き、労働者を1人でも雇用したら、事業主は強制的に雇用保険の適用事業主とならなければなりません。そのため、この条件はすでに満たされている場合がほとんどです。

2.売上高または生産量が十分低下していること

直近3カ月間の売上高や生産量などの事業活動を示す指標が、前年同期に比べて10%以上減少している必要があります。この要件は災害や景気の変動の際に緩和されることがあるため、厚生労働省の発表をこまめにチェックしましょう。

3.雇用量が一定の範囲に収まっていること

雇い入れた雇用保険被保険者数および派遣労働者の直近3カ月の月平均値が、一定の基準を下回っている必要があります。その値は、中小企業とそれ以外で異なります。

中小企業の場合
前年同期と比較して、10%以下かつ4人未満

中小企業以外の場合
前年同期と比較して、5%以下かつ6人未満

中小企業とは
雇用調整助成金における中小企業の定義は、以下の表の通りです。

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4.雇用維持方法ごとの要件

休業・職業訓練・出向のそれぞれに特定の満たすべき要件があります。順番に見ていきましょう。

休業の要件
休業は、所定労働日の全一日にわたって実施されるものと定められています。つまり、その日の午前だけ休業して午後からは出勤というのは認められません。
ただし、事業所の雇用保険加入者全員が休業する場合は、一斉に1時間以上であれば休業と認められます。

教育訓練の要件
教育訓練も休業と同じく全一日にわたって実施される必要があります。また、教育訓練の場合は、アンケートやレポートなど受講を証明する書類を助成金申請時に提出しなければなりません。書類には「訓練を受けた日付」「サインや押印などの本人証明」の2つが必要です。この際、偽りの書類を提出すると不正受給になり、助成金の全額返還や事業所名の公表、詐欺罪での刑事告発など厳しい罰が与えられることになります。

出向の要件
従業員の出向を行った場合、3カ月以上1年以内に出向先から元の事業所へ復帰させる必要があります。また、出向者の賃金を、必ず出向元と出向先で分担しなければなりません。いずれかが100負担すると、助成金の支給対象から外れてしまいます。

5.再受給を受ける場合の要件

雇用調整助成金を受け取った事業者は、支給が終了した日から1年が経つまで、再度助成金を受け取ることはできません。再度受給が可能になるまでの1年間をクーリング期間と言います。

雇用調整助成金の受給額

雇用調整助成金の受給額や上限額についてご紹介します。

1日当たりの受給額は、休業や出向などの雇用維持にかかった費用に、中小企業とそれ以外で異なる助成率をかけて求められます。また、教育訓練の場合のみ、1,200円の手当てが加算されます。
詳しい受給額の内容を、一覧表にまとめました。ぜひご活用ください。

1日当たりの受給額一覧表

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雇用調整助成金の受給期間

雇用調整助成金の支給対象となる期間について、ご説明します。

休業・職業訓練の場合

休業・教育訓練の場合、受給期間は1年間です。その間、受給できる日数は最大100日とされています。クーリング期間を挟んで2度受給する場合、受給できる日数は、3年間で最大150日です。

出向の場合

出向の場合も、受給期間は1年間です。ただし、受給できる日数は、出向の開始日から元の職場に復帰するまでの期間最長1年とされています。

雇用調整助成金の申請方法

管轄の労働局もしくはハローワークの窓口で申請します。
その際に必要なのが、雇用調整にまつわる書類です。休業・出向など施策ごとに異なる書類に、計画や実績を記して提出しなければなりません。
その内容を審査した上で、労働局より支給決定が行われます。

雇用調整助成金で社会にプラスを

雇用調整助成金は、雇用を維持することによって事業主と労働者の信頼関係を高め、社会全体にプラスの影響を与えることを目的としています。経営状況の悪化により事業の縮小を余儀なくされた場合は、ぜひ活用を検討してみましょう。