人材サービス業界まるわかりガイド

人材サービス業の歴史

企業が事業を推進していくためには、必要な人材をどれだけ集められるかがカギとなります。「人的資源マネジメント」や「人事戦略策定」の観点から、人事の仕事とは切っても切り離せない密接な関わりを持つ人材サービス業。ここでは人材サービス業の内容をはじめとして、その成り立ちや変遷についてご紹介します。

人材サービス業の5分野

人材サービス業は、主に「人材紹介」「人材派遣」「業務請負」「求人広告」「人事コンサルティング」の5つの分野に分かれます。いずれも労働力を確保し企業の人員調整をスムーズに行うためのサービスです。

「人材紹介」はクライアントからの依頼を受けて求職者とのマッチングを行い、クライアントへ適切な人材を紹介します。「人材派遣」は一定の期限を設けて専門的な人材を「派遣スタッフ」として供給するサービスです。なお、「業務請負」もクライアントに労働力を提供するサービスですが、仕事を担うのが「請負業者が直接雇用するスタッフ」という点で、人材紹介や人材派遣とは異なります。業務請負はアウトソーシングと呼ばれることもあります。「求人広告」は求人情報を掲載して求職者を募り、企業とのマッチングを行うサービスです。「人事コンサルティング」は人事業務のコンサルティングを行うサービスで、採用活動のほか人材の育成や組織開発などもサポートします。

人材サービス業の歴史とは?

日本における人材サービスの歴史は古く、江戸時代までさかのぼります。人材紹介・人材派遣の歴史を振り返ってみましょう。

人材紹介サービスの歴史

江戸時代の人材紹介サービスは「口入れ屋」と呼ばれ、労働力を必要とする場所に人材を紹介する仲介業を行っていました。しかし中間搾取や紹介先の劣悪な労働環境などが問題になったことから、同業者組合を結成し自主規制を行うようになります。明治時代になると国から法令が制定され、職業紹介について基本的な規則が定められました。さらに戦後1947年にはGHQの指導により職業安定法が制定され、人材紹介業に厳しい規制が課されました。

人材派遣サービスの歴史

人材派遣サービスは構内請負という形で明治時代頃から行われてきました。人材紹介と同様に中間搾取の横行などの課題があり厳しく規制されていましたが、1966年に日本で初めての人材派遣会社が設立されたことをきっかけに、法整備が進められます。1985年には労働者派遣法が制定され、翌年にはソフトウェア開発や通訳など専門的な13業務を限定として正式に人材派遣が可能となりました。

人材サービスの規制緩和と規制強化

1990年代には人材紹介・派遣の規制緩和が進みます。まず1996年にデザイナーやアナウンサーなど専門的な26業務で労働者の派遣が許可されました。1999年には職業安定法の改正を受け、民間業者が紹介・派遣できる業種が事実上自由化されます。さらに2000年に紹介予定派遣が解禁、2004年には専門業務の派遣期間制限が撤廃されるなど、人材紹介・派遣を取り巻く環境が大きく変化しました。

ここにはバブル崩壊による正社員の減少や派遣社員の増加といった働き方の多様化が関係していると考えられています。しかし、偽装請負や派遣切りといった問題を受けて2012年に労働者派遣法が改正され、現在は再び規制を強化する方向にシフトしています。

なお、求人広告は従来、雑誌や新聞を使うのが主流でしたが、インターネットの発達に伴いWebサイトを求人広告の媒体として活用する企業が増加しました。特に多くの情報を集めデータベース化できる大手企業が力を伸ばしています。

人材業界のこれから

日本ではパートタイム労働法の改正や育児介護休業法の施行などを背景に、パートタイムやアルバイトを活用した柔軟な働き方を求める風潮が強まっています。働き方の多様化を背景に、派遣や請負といった人材サービスの利用範囲は広がっていくでしょう。同時に労働者を守るためのルール整備が求められています。

また、科学技術の発展が人材サービス業界にもたらす影響も見逃せません。例えば人材紹介や求人広告分野ではAIによるマッチングが進むといわれています。さらに求人広告分野では検索履歴を元にしたリターゲティング広告の活用などで、業者が求職者に積極的にサービス利用を促すシーンも増えはじめています。

終身雇用制度が崩壊し、少子高齢化が進む社会で、いかに質の良い労働力を豊富に確保し、クライアントに適切な人材を用意できるか――。人材サービス業界のカギとなるでしょう。