新卒採用研究所

リクルーターとは?

2016年以降、リクルーター制度を導入する企業が増加しています。採用フローの短縮やミスマッチの低減などその効果の高さから注目されている「リクルーター」。この記事ではリクルーターの役割や導入効果に加え、具体的な導入方法や導入の際の注意点などを詳しく紹介します。

リクルーターとは?

採用活動の初期段階に就活生と接触する社員をリクルーターと呼びます。リクルーターには就活生と同じ大学を卒業した入社1~3年程度の若手社員が選ばれることが多く、「先輩と気軽に話してみませんか」などと学生に呼びかけ、カフェなどでカジュアルなスタイルで面談を行うのが一般的です。OB・OG訪問は、就活生側の主体的な就職活動になりますが、リクルーターによる面談は企業側が主体の採用活動になります。

リクルーターは主に以下の4つの役割を担っています。

1.母集団を集める

1つ目の役割は、いわゆる「人材集め」です。ゼミの教授やサークルの後輩に連絡を取ったり、大学の企業説明会に訪問したりして、採用対象者を集めていきます。

2.初期選考を行う

2つ目の役割は、初期選考の面接官です。リクルーター面談は人とのつながりを利用した選考であるため、表向きは正式な選考ではありません。しかし、企業はこれを実質上の「一次選考」と捉え、リクルーターに学生の言動や志望度をさりげなくチェックさせます。

3.企業理解を促す

3つ目の役割は、企業理解の促進です。事業内容を語る際に対象者が社員や取引先の顧客であれば、ベテラン社員が説明役としては適任かもしれません。しかし、対象が就活生の場合は、学生の目線に寄り添って分かりやすく説明することが求められます。そこで、より学生に立場が近いリクルーターに説明役を担ってもらい、学生の企業理解を深めます。

4.志望度を高める

4つ目の役割は、志望度の引き上げです。将来、同じ企業・職場で働くかもしれない社員の「人柄」を内定受諾の決め手とする就活生は多いものです。同大学や同郷といった共通項を持つ社員から、就活の不安を払拭するアドバイスを受けたり、業務内容を丁寧に説明してもらったりすることで信頼関係が育まれ、企業の志望度が向上するきっかけとなります。

トレンドに至る背景

社内にリクルーターとなる人物を用意し、採用活動にあたらせる「リクルーター制度」は、新しいトレンドではありません。バブル期以前から大手企業などでは優秀な人材を「青田買い」するために行っていました。また、2000年代にインターネットが興隆するまでは、SNSのように時間や距離を気にせず連絡を取れるツールが存在しませんでした。そのため、採用担当者は人伝いに採用候補者を探すしかなかったのです。やがてインターネットが普及し、就活ナビサイトが登場すると、採用活動は専らネットによる接点で行われるようになりました。

ところが、2016年にいわゆる就活の「後ろ倒し」が発表され、多くの企業は短期決戦を迫られました。そこで復活したのが、人材を効率的に確保できるといわれる「リクルーター制度」です。後述しますが、リクルーター制度では自社の知名度に関係なく優秀な人材と出会いやすいメリットがあるため、多くの企業が導入し始めたというのが今のトレンドになった背景です。

リクルーター制度の効果・影響

就活の短期化も影響して、「採用フローを短縮できる」「ミスマッチを減らせる」「知名度が低い企業でも集客しやすい」といった理由でリクルーター制度を導入する企業が多く存在します。

採用フローの短縮

リクルーターによる接触では、おおむね、企業側が求める人材像にあてはまる学生や優秀な学生と出会える機会が多くなるため、リクルーターの評価が良い学生をそのまま最終選考へと送り出すことができます。学生が気兼ねなく話しやすいリクルーター面談では、面談時点で学生の適性や志望度をある程度正確に判断できるため、通常選考のように複数人のフィルターを通す必要がありません。そのため、通常の選考よりも採用フローを短くできます。また、採用フローが短くなることは、採用コストの圧縮にもつながります。

ミスマッチの防止

通常の選考でありがちなのが、学生が極度に緊張して本来の人物像を把握できなかったり、就職活動のマニュアルに合わせた“偽りの自分"を作りあげた学生を採用してしまったりして、入社後にミスマッチを生じさせてしまうケースです。しかし、リクルーター面談ではフランクな雰囲気の中で話すため学生は緊張しにくく、本音も聞きだしやすいことに加え、リクルーターを通じて企業理解を深めることができます。そのためミスマッチを防ぎやすいといえます。

知名度が低い企業でも集客しやすい

大手ナビサイトに求人を出す場合、知名度の低い企業は学生から注目されにくいため、説明会などの集客の点で不利になってしまう傾向があります。しかし、リクルーター制度は人のつながりを利用した手法であるため、うまく活用できれば有名企業でなくとも優秀な人材に出会える可能性があります。
※ただし、近年のナビサイトでは、学生の適性検査結果や行動履歴に基づくレコメンドエンジンも強化されているため、数年前に比べて知名度の低い企業であってもマッチング精度が高まっている傾向にあります。

リクルーター導入の向き・不向き

採用で苦戦していた企業が状況を打開する一手となりそうなリクルーター制度ですが、企業によって導入の向き・不向きがあります。ここではリクルーター制度導入に向いている企業・向かない企業の特徴を紹介します。

リクルーター導入に向いている企業

社員が採用活動に前向きな企業

採用活動は企業に利益をもたらすと社員が感じており、採用活動を積極的に捉えている企業であれば、リクルーター制度の導入効果も同様に理解してもらいやすいです。そのため導入には向いています。

リクルーター導入に向いていない企業

採用関連の業務を人事に任せている企業

反対に、人事以外の社員が採用に関わってこなかった企業では社員が採用活動の必要性を感じていないため、人事以外の社員を採用に携わらせるリクルーター制度を導入する際に反発を招く場合もあります。通常業務を差し置いてやる意義があるのか、効果は本当にあるのかなどと抵抗を感じる社員が出てくるでしょう。

リクルーター制度の導入方法

これまで採用業務を人事部または採用担当者にのみ委ねてきた会社では、導入がスムーズにいかない場合もあるようです。社員の理解を得て、リクルーター制度を円滑に導入するためにはどうすればよいのでしょうか。

トップ自ら採用活動の意義を伝える

部門の枠を越えた協力関係を築くには、上層部の働きかけが欠かせません。トップが自らリクルーター制度導入の意義を理解し、日頃から社員に新卒採用の重要性を伝えるようにすると、新卒採用に協力することに対して前向きな気持ちで捉える社員が増えるでしょう。
また、採用活動に協力的な社員を評価するというのも、リクルーター制度を浸透させていくうえで有効です。

社内体制を整える

初めてリクルーターを依頼された社員は、学生と面談した際の飲食費は実費負担なのか、カフェでの面談は業務時間に含まれるのかなど、不安や疑問を抱えています。安心してリクルーターになってもらうために、経費の清算ルールや運用フローを整備し、リクルーターとして活動するための環境が整っていることを明示しましょう。また、リクルーター活動を人事評価に組み込むことも検討してみましょう。

リクルーター制度の注意点

リクルーター面談には、学生の素の状態を引き出しやすいという良さがあります。しかし一方では、良くない意味でリクルーターの“素"が出てしまう場合もあるようです。例えば、態度が横柄で物言いが上から目線、深夜など非常識な時間帯に連絡を寄こしてくるリクルーターは学生からの評判が悪く、企業の信用にも関わります。

大学の後輩と面会し、つい先輩気分で振る舞いたくなる気持ちが生じるのは理解できないわけではありませんが、学生に不快感を与え、志望度を下げたり、企業のイメージダウンにつながったりする状態は避けたいものです。大前提として常識的な行動を心がけ、また業務とプライベートの境界線を見失わないよう、リクルーターになる社員には事前に注意を促しておきましょう。
また、中には勧誘がしつこいリクルーターや、事業内容について偏った情報しか伝えてくれないリクルーターも出てきてしまう可能性があります。これらは依頼時に認識を擦り合わせておけば解決しうる問題点です。リクルーターを依頼する際は、必ず採用の目的や、採用計画、理想の人材像や伝えたい企業像を共有するようにしましょう。

リクルーターの活用で採用難を乗り切る

トレンドであるリクルーター制度をうまく活用できれば、売り手市場の採用活動をうまく乗り切ることができるだけでなく、採用コストの圧縮にもつながります。リクルーターの活用は、もはや大手企業のものだけではありません。企業ブランドの低さゆえにこれまで苦戦をしていた企業や採用経費、人的コストが限られてくる中小企業にとっても有効な手段となってくるでしょう。
自社に合うかどうかを見極めたうえで、効果や注意点に留意しつつリクルーター制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。