新卒採用研究所

インターン採用

インターンシップ(略してインターン、と呼ばれることが多い)は、学生が企業で実際に仕事を体験する「職業体験制度」をいいます。インターンシップ制度は学生にとっても企業にとってもメリットが大きく、年々その注目度は上がってきました。

ここではインターンシップ制度の概要から導入の仕方、注意点までをご紹介します。

インターンシップの概要

インターンシップ実施は、今や常識!? 

インターンシップは元々アメリカで始まりました。近年は日本でも実施企業が増加しており、16卒採用では新卒採用企業の約6割で実施され、2018年4月入社者(以下18卒)採用でもさらに実施割合は増えると見込まれています。企業がインターンシップを実施する理由はさまざまですが、もはやインターンシップは採用活動の常識、といっても過言ではないでしょう。大きく分類すると、インターンシップには以下のようなものがあります。

1)職場体験・宣伝型
働く意味、職業観を形成。宣伝や社会貢献の意味合いも。
2)実務・実習型
資格取得(医療、福祉、教育など)を目的とするもの。
3)アルバイト型
労働による対価を得ながらスキルアップを図るもの。
4)課題解決型
設定した(された)課題に取り組む。産学連携など。
5)採用直結型
優秀な人材を見つけ、採用に繋げることを重視するもの

大学側もインターンシップを推奨

今、学生の多くが「就職活動で有利に働く」と捉えて積極的にインターンシップに取り組んでいます。もちろん、必ずしもインターンに参加することが有利になるとは限りません。しかし現在、大学側もインターンシップを推奨していることをご存じですか?
平成25年度調査によれば、なんと7割以上もの大学がインターンを単位として認定。業界や業種への理解や知識を深め、人生観や仕事観を育てていくことも、大切な学びの一環としています。学生にしてみれば、学業と並行して就活を見据えた活動ができる訳ですから、ますますインターンシップに参加しやすくなる状況がみえてきます。

トレンドに至る背景

なぜ今、インターンシップを重視すべきなのか?

ご存じの通り2015年度から、経団連は学生の採用選考解禁時期について、従来の4月から8月に繰り下げる措置を決定しました。就活時期を遅らせることで学生の本分である学業に支障が出ないように、との措置でしたが、実質的には「選考期間の短縮化」となりました。

この影響を受けて「優秀な学生を早期に見極めたい」との狙いから、就活前のインターンシップを実施する企業が増加しました。今後も、効果的な採用活動のためにインターンシップを導入する企業は増えていくことが予想されます。

就活前インターンシップの狙い

文部科学省によれば、「インターンシップとは学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した“就業体験”を行うこと」と定義しており、経団連もインターンシップ生に即内定を出すことを認めていません。しかし、原理原則は就業体験といいつつ、現状では採用を見据えたインターンシップ導入が多く見受けられます。

インターンシップは企業と学生の出会いの場です。接触する機会を増やすことで、「一緒に働きたい」と思う学生との出会いも増えるでしょう。大半のインターンシップは短期間受け入れのため、実施内容に限界はあるものの、採用する企業が学生に対して様々なアピールができる貴重な機会であることは間違いありません。実際、インターンシップに参加した学生を採用している企業も少なくないようです。

インターンシップの効果と影響

インターンで学生の気持ちをつかめ!

17卒では、全体の7割の学生がインターンシップに参加。そのうちの7割は、定期的に企業側と連絡を取り合っていたという調査結果があります。このことからもわかるように、インターンシップは優秀な学生と出会うだけに留まらず、人間関係を構築して採用に活かすための重要なファクター。インターンシップを実施する・しないの違いが、採用成功にも大きく影響することになるのです。

インターン実施は企業側のメリットも大きい

インターンシップは受け入れる企業側にもさまざまな効果が期待できます。以下に主なポイントをまとめました。

1)企業PR・社会貢献
インターン生の受け入れは、自社の存在やCSRをアピールする絶好のチャンス。開かれた企業姿勢を見せることは企業のイメージアップに効果的。
2)採用ミスマッチの解消
単なる面接よりも長時間を学生と過ごすことで、個性や能力の見極めができる。学生に業界や業種への理解を深め、社風を感じてもらい、早期離職のリスクを軽減。
3)職場が活性化
インターン生の受け入れによって、組織や個々の役割が明確化され、指導力やマネジメント力など社内モチベーション向上も期待できる。
4)産学連携の構築
インターン生の受け入れをキッカケに、大学側と交流のチャンスが生まれる。企業に対する理解が深まりパイプが強化されれば産学連携の可能性も。

インターンに向く企業、向かない企業

業界や企業による向き・不向きはあるのか?

しかしながら、初めてインターンシップ導入を検討する企業にとっては、さまざまな不安がつきまといます。「インターンシップに興味はあるが、どうしたらいいかわからない」「あまりうちの会社に向いているとは思えない」…等々、確かに業種によっては、現場に直接配置し仕事を体験してもらうのが困難な場合もあるでしょう。しかし、そのようなケースでも座学やロールプレイなどで職場を疑似体験することは可能。「この業界には向かない」「こんな仕事はインターンを受け入れにくい」と安易に決めつけて、インターンシップを諦める必要はありません。
導入を考えている企業は、自社の業務がインターンに向いている・向いていないという視点ではなく、「インターン生を受け入れるにはどんな方法があるのか」という視点で検討されてはいかがでしょう?

1)実地での体験がしやすい例
設計・開発などの技術職では、メンター(支援者)役の従業者への申し渡しや、インターンの目的をしっかり伝えておくことで、「なんとなく仕事をさせる」ではなく「仕事の魅力を感じさせる」インターンシッププログラムにすることができる。

2)実地への配属が難しい例
サービス業、接客業では、企業理解・ビジョン理解をさせた上での店舗見学(ミステリーショッパー&グループワーク、事業戦略策定)などが考えられる。

学生をガッカリさせないために

実施する際には、インターンシップに向くか・向かないかを気にするより、「学生が何を期待してインターンシップに参加してくれるのか」に配慮することが重要。募集段階で告知した内容と実際の実施内容にギャップがあっては、学生にガッカリされてしまうばかりか、期待したインターン導入の効果が得られないかもしれません。
たとえ1dayの短期実施でも、内容を精査し受け入れ体制をきちんと整えて望みたいものです。

インターンシップに関する学生の不満(一例)

  • 「実務に関する業務と書いてあったのに、実際には普通のグループワークだった」
  • 「毎日タスクを与えられたが、あまり社員の方が面倒をみてくれない」
  • 「1dayだったので、スケジュールが慌ただしかった」
  • 「もっと社員の方と交流できると思っていた」
  • 「刺激を受けたくて参加したが、課題レベルが物足りない」

インターンの実施方法

まずはインターンシップ導入の目的を明確に!

インターンシップ導入においては、主たる目的をどこにおくかで実施方法も違ってきます。人事採用担当者はもちろん、インターン生と関わるセクションすべてについて、コンセンサスを得ておく必要があります。

例えば、短期のインターンで学生の能力を見極めるようとしても限界があります。特に1dayの場合には、「当社をPRし仕事を理解してもらう」「社風に触れる」等を主目的に実施することになります。一方、長期間の受け入れでは実際の職業体験も可能となります。しかし「インターン」は「アルバイト」ではありません。「どんな業務を」「どの範囲まで」「いつまで」体験させるのか、インターンシップ実施の目的に合わせた実施内容を考えたいものです。

役割分担とフォロー体制を整える

さあ、いよいよインターンシップの受け入れです。直接的には人事採用担当者、教育担当者がインターンシップの実施者となりますが、各社員の役割を明確化して、受け入れ期間中は社員同士お互いにフォローできる体制を整えておきましょう。

  • 担当者の役割を明確化する。
  • インターンシッププログラムとスケジュールを作成、共有する。
  • インターンシッププログラムの内容に応じて、指導方法や接し方を検討する。
  • 受け入れ期間中の連絡体制、フォロー体制を整える。

実施する際はリスク管理を忘れずに

インターンシップが珍しくなくなった現在、比例してアクシデントも増加する可能性があります。ここからは、インターンシップのリスク管理についてみていきましょう。

インターン生に、労災はおりるのか

受け入れ期間中にインターン生が負傷したら、どうなるのでしょうか。業務中に負傷すると労災保険が適用されますが、その際に問題となるのが、「インターン生は労働者か否か」です。
労働者とみなされるためには、労働基準法をはじめとする各種法令を遵守する必要があるので、労働条件や最低賃金などに注意しておく必要があります。労働者とみなされず労災が使えない場合、健康保険を使うことはできます。

受け入れ企業側の責任

労災が降りるかどうかに関係なく、インターンシップを受け入れる企業側には安全配慮義務があります。万一、企業側の過失による事故が発生したら、損害賠償などの責任が発生するリスクがあります。
セクハラ、パワハラについても厳重に注意すべきです。発生が明らかになれば企業としての責任が追及され社会的信用を失いかねません。社員に対してだけではなく、インターン生に対しての言動や行動もセクハラ等に該当することを、十分周知しておきましょう。

インターン生が企業に損害を生じさせたら

インターン生の受け入れで企業が損害を被るケースも増えています。具体的には、機器やソフトの損壊、個人情報や企業機密の漏洩等があります。本来、個人の過失による損害は個人で賠償すべきですが、実際のところ学生には賠償しきれない場合が多いようです。こうしたリスクを回避し、インターンシップ制度の障壁としないための対応として、現在では大学・学生・企業の3者間による保険加入も推奨されています。


以上が、インターンシップに関しての概要や注意点です。インターンの実施を検討している企業、担当者様はぜひ参考にしてください。特に、導入後の注意点・リスクに関しては念入りにチェックしておくことをおすすめします。